コラム

海外で最先端のビジネスを体得するMBA制度で、商工中金のプレゼンスを向上させ、組織を活性化させたい。

商工中金のMBA制度は、海外留学を通してビジネススキルやヒューマンスキルを磨ける人材育成制度だ。MBA制度で何を学び、商工中金に何を還元するのか。実際にMBA制度を利用して米国に留学した石谷尚登が、現地で得た経験や今後のキャリアビジョンについて語る。

D&I推進部

石谷 尚登

父が勤める中小企業が倒産の危機に瀕したことを目の当たりにしてから、中小企業の成長と従業員の生活を支える仕事に就きたいと考えるようになり、商工中金に入社。法人営業やベンチャーキャピタルへの出向を経て、2020年に米国のハルト・インターナショナル・ビジネススクールに留学。現在はD&I推進部で人材育成戦略の企画運営等を担当する。

D&I推進部 人づくり支援室長

船曵 泰雄(インタビュアー)

阪神大震災で被災した経験から、街や経済の復興に携わりたいと考え、商工中金に入社。甲府支店でワインを学び、広報部でブランディングを学び、下関支店で歴史を学ぶ。2022年4月人づくり支援室長に就任。現在、日本ワインとふぐ刺しのマリアージュを研究中。

幅広い知見とリーダーシップを養うためにMBA制度で留学。
金銭的な支援もあり安心してチャレンジできた。

船曵
船曵
商工中金のMBA制度は、昭和の時代から続く人材育成制度です。海外でハイレベルなビジネスを学び、リーダーシップやダイバーシティといったヒューマンスキルを磨いて、商工中金に大きな影響を与える人材に成長してほしいという思いで運用しています。石谷さんはなぜMBA制度を利用したいと考えたのですか?
石谷
石谷
農林水産省が設立したベンチャーキャピタルに出向した際の上司が、メザニンファイナンスの専門家で、商工中金とともに米国からABLを日本に初めて導入した方でした。先進的な金融商品を取り入れれば組織全体が活性化し、お客さまのお役にも立てる。「一人の力で会社と社会を変えられる」ことを実感したのです。その方のように、海外で知見や視野を広げてリーダーシップを養い、商工中金のプレゼンスを向上させ、お客さま、そして日本に革新と成長をもたらしたいと思ったのが、MBA制度を志望したきっかけです。
船曵
船曵
MBA制度で留学するにあたり、不安はありませんでしたか?
石谷
石谷
留学費用や現地での家族の生活費などは会社が負担してくれるため、金銭的な不安は一切ありませんでした。現地でのコミュニケーションやMBA制度の選考に英語力は必要不可欠なので、英語の勉強は力を入れましたね。一般的に英検2級レベルから1,000時間は勉強しないとMBA制度で留学するのは難しいと言われているので、選考通過後も英語力を磨き続けました。
船曵
船曵
MBA制度の選考は、所属長からの推薦を得た希望者に筆記試験と面談を受けてもらい、留学の動機や今後のビジョンなども含めて総合的に判断しています。商工中金の人材育成制度の中で最も手厚い予算を投入する制度なので、選考も本気で挑んでいます。石谷さんはMBA制度で何を学びたいと考えていましたか?
石谷
石谷
一番はリーダーシップのスキルです。知識だけなら書籍でも学べますが、人とのコミュニケーションでしか得られないスキルはたくさんあります。留学して世界中の人と触れ合い、ディスカッションすることで磨かれるリーダーシップのスキルは、日本では得がたい経験だと考えていました。

ダイバーシティはイノベーションの源泉。
多様な価値観を持つ学生と議論し、成長を実感。

船曵
船曵
MBA制度ではどのような勉強に取り組みましたか?
石谷
石谷
世界で活躍できるビジネスリーダーになるため、そしてVUCA時代に適応するため、適切な倫理や必要な知識をベースに、経営者としての判断力を磨き上げる訓練を行いました。世界中から集まった優秀な学生との議論やグループワークを通じて、適切なマネジメントや経営判断を体得しました。座学の時間は少なく、事前に参考図書を読み込んだ上でアウトプット中心の授業に挑む必要があり、刺激的で成長を実感する日々を過ごしていました。
留学当初は文化や価値観の異なる相手とのコミュニケーションが上手くいかず、「あなたが言うことは間違っている!」と怒られてしまったこともありましたね。このような失敗も貴重な経験としながら、頭で納得するのではなく心で納得できるように議論を深めるスキルを磨けたと思います。
船曵
船曵
学外での生活はどうでしたか?
石谷
石谷
留学していたサンフランシスコはシリコンバレーの一角であり、大手IT企業の本社が所在するリベラルな街です。世界で最もダイバーシティに富んだ街の一つであり、アジア人などの人種に関わらず、どこでもフレンドリーに笑顔で話しかけられたのが印象的でした。また、LGBTの先端の街でもあり、多様性あふれる人々が自然体で暮らしていました。一方で、サンフランシスコは貧富の差が激しく、ホームレスの人たちも多くみられました。学内外問わずさまざまな人と知り合いになり、ダイバーシティに関して大いに考えさせられる経験ができたと感じています。
船曵
船曵
商工中金でイノベーションを起こすためには、石谷さんが実感したダイバーシティやインクルージョンの観点が欠かせません。MBA制度で得た学びは、考え方や価値観にどのような影響を与えましたか?
石谷
石谷
近年、日本は自信を失い将来を悲観する向きが強いですが、海外から見た日本の存在は今もとても大きく、高い成長のポテンシャルを持っていると実感しました。MBA制度で学んだ理論や事例の大半はアメリカと日本のもので、世界最先端のビジネススクールに来たことでむしろ日本の存在を強く感じたほどです。日本の産業の実力に自信を持ち、商工中金の一員としてお客さまとともに前を向いて力強く進もうと心新たに決意しました。
ダイバーシティに富んだスクールと街で生活したことで、成長とイノベーションの源泉を体感することもできました。グループワークでは多様な意見が混ざり合うことで、予想もしなかった素晴らしい結論に至ることができましたし、誰もがフレンドリーかつオープンに接しあうことで、世界に存在しなかったアイデアを実現できているのだと感じました。

誰もが活躍できる組織づくりを目指して、
自身の専門性を広げ、深めていきたい。

船曵
船曵
MBA制度での経験を通して、業務にどのような影響がありましたか?
石谷
石谷
まず、MBA制度で感じたのが商工中金の職員はとても優秀であることです。世界トップ100に入るビジネススクールで、世界中から華々しい職歴を持った人材が集まっていましたが、総合的には当金庫の職員の方も負けていないと感じたのです。高い論理的思考能力、理解力、向上心、協調性を備え、全員が中小企業を支えたいという共通の思いを持っている組織は、実は極めて稀なんです。そんな商工中金のメンバーとして働けることを改めてうれしく思いましたし、誰もがさらに活躍できる組織にするにはどうすればよいのか、真剣に考えてとりくみたいと考えるようになりました。
船曵
船曵
どのようなキャリアビジョンを描いているのか教えてください。
石谷
石谷
「TT(ダブルティー)人材」になることを目指しています。これは幅広いリテラシーと深い専門性を両立させ、かつ時代の変化により知識が不要とならないよう、専門性を増やしていくというキャリア戦略の考え方です。今の私はベンチャーキャピタルで身につけたスタートアップという専門性と、MBA制度で得たリテラシーの広さというシングルTの状態なので、もう一つのTをつくるべく、人づくり支援室でTのベースを築いた後、もう一つの専門性を養いたいと考えています。「計画的偶発性理論」では、キャリアは80%が偶然で形成される一方、その偶然を計画的に設計できることが示されています。この偶然性を楽しみながら、チャンスを引き寄せる行動をとっていきたいです。
船曵
船曵
MBA制度では、業務の能力だけでなく人間的な魅力を向上させて、商工中金に還元してほしいと考えています。石谷さんのように、多様な文化や人材と意欲的に交流し、熱い思いで能力を発揮してくれる姿はまさに理想的ですね。最後に、就職活動を迎えた学生の皆さんにメッセージをお願いします。
石谷
石谷
商工中金は若手の裁量が極めて大きく、入社1年目からでも主体的かつ自律的に、自分で考えて業務ができる点が魅力です。若くして他社のベテランレベルにまでスキルアップするための充実した研修制度と、OJTがそれを可能にしています。また、さらなる高度人材やスペシャリストの育成を目指して施策を推進しており、会社の中で独自のキャリア形成を図るチャンスを増やしています。ぜひ、商工中金でスペシャリストを目指してください。
Recommend
関連記事
コラム

【新中期経営計画特集】中小企業と商工中金の持続的な成長に向けて、DXで組織を変革する。

コラム

【新中期経営計画特集】企業変革のひとつの軸は「Well-being」と「D&I」。しなやか...

コラム

【もっと知りたい!商工中金のリアル】商工中金におけるテレワークとは?

Recruit

採用について