Project Story 02

会社の将来を見据えた経営者の決断を、
社内外と連携しながらサポートする

柳田 和己Kazuki Yanagida

2014年入社/津支店 営業第三課

将来を見据え、会社分割をしたいという要望

「折り入って相談があるんですが」。そう切り出したU社の社長の深刻そうな表情を、柳田は初めて見た。戦後間もない頃から運送業を始めたU社は、荷主から大きな信頼を得ながら業績を伸ばし、不動産業、倉庫業などにも事業を拡大。柳田にとっても大口顧客の一つだ。創業者の息子である二代目社長の相談とは「会社分割をして、運送事業と他の事業を切り離したい」というものだった。会社組織を分けて新会社をつくったり売却したりする会社分割は通常、業績の悪い企業が不採算部門を切り離して経営立て直しのために行うケースが多い。しかし、メインバンクである商工中金から見てもU社の経営にはそのような問題はないはずだった。社長が会社分割を考える理由は次のようなものだった。運送事業を引き継ぐことができる適任者が見当たらないため、将来も運送事業を存続させていくために従業員が経営を引き継ぐことができるような体制を今のうちから整えたい。その布石として今のうちから会社を分割しておきたい。また、近年トラックの重大事故によって運送業者が廃業に追い込まれる事案が多数報道されている。U社でも万が一そうした事故が発生すれば、運送業以外の事業も巻き込まれる恐れがある。そこで、他の事業への影響が及ばないように会社分割でリスクを分散させておきたいというのである。

チャンスを目の前にして資金がない悩み

社長には経営上のもう一つの悩みがあった。社長は事業拡大に意欲的で、新規事業にもどんどん手を広げてきた。今回の会社分割後にも新たな設備投資を行う考えで、そのための資金を確保しなければならない。ところが、これまでの借入れが膨らみ、次なる投資への資金確保が困難な状況に陥っていたのだった。眼の前にチャンスがあるのに、資金がなくて着手できないのは社長にとってとても歯がゆい状況だった。そこで、会社分割を機に複数ある融資を一本化することで返済原資であるCFと返済額のリバランスを図り、事業拡大のために資金繰りを安定化させたいと社長は別の要望も持っていたのだった。この会社の将来を考えた時に、巨額となる融資を商工中金単独で支援すると銀行バランスが崩れ、かえってリスクが残ってしまうのではないか。そのような想いを伝えると、社長は、シンジケートローンと呼ばれる複数の銀行が協調して行う融資を希望した。「銀行団のご理解を得て、借入れを一本化し、より大きな活力をもって新たな一歩を踏み出したい」そんな社長のダイナミックな構想に共感し、何とかその思いを後押ししたいと思い、U社からの帰り道、柳田はU社に同行した上司と今後の方策について話し合った。柳田自身は会社分割やシンジケートローンなど、初めての取り組みが自分にできるのかどうか不安があった。しかし、やるしかない。

本部と連携してシンジケートローンの実現へ

会社分割とシンジケートローンという2つのプロジェクトを同時に成功させるため、柳田は支店長、次長、課長からのアドバイスを受けながら、案件審査とスキーム構築を進めていった。まずは会社分割を得意とするT税理士事務所に連絡をとり、U社へのコンサルティングがスタートすることになった。「もう対応してくれたのか」。社長は予想外のスピードに驚いた様子だった。U社では地元の税理士事務所に会社分割の相談を持ちかけていたが、その事務所では専門外の取り組みだったため、遅々として進んでいない状況だったのだ。一方、シンジケートローンに関しては、すぐさま本部のソリューション事業部と連携した。「借入を整理して財務内容を改善させ活力を引き出す。将来を見据えた会社分割も大きな意義があり、実現したらお客さまに大変喜ばれる案件ですね」。そう語る本部スタッフの協力により、シンジケートローン組成への取り組みが始まった。「まずは、どのようなストーリーでシンジケートローンを実現するのか、そのアウトラインづくりから取り掛りました。しかし、初めてのことばかりで用語すらわからず、とにかく勉強する日々が続きました」

※職員の所属部署・掲載内容は取材当時のものです。