Project Story 05

付加価値の高い提案と地道な活動で顧客が抱える問題を解決する

多田 義章 2007年入庫/福岡支店 営業第五課 調査役(現 業務推進部 調査役)

徹底したヒアリングでビジネスモデルを把握

E社のビジネスモデルを正しく説明できるようになるまで、多田はヒアリングを重ねた。そもそも、なぜ契約先をE社に切り替えるだけで料金が下がるのか。電気料金は高圧電力契約(主に工場などの大口需要向け)よりも低圧電力契約(主に家庭向け)のほうが電力の単価が高い。そこでE社が高圧電力契約の利用を可能にする受変電装置を設置し、電力会社から供給を受けた高圧電力を低圧へ変換し、お客さまへ供給する。高圧と低圧の電気料金には大きな開きがあるので、E社が自社の利益を上乗せしても、エンドユーザーにとってはそれでも料金が安くなるのである。このサービスでは1店舗あたり年間30~40万円程度の電気料金が節約できるケースもある。10店舗を展開するチェーンであれば、それだけで年間300万円~400万円の経費削減につながる。不況でコスト削減に必死な企業にとってみれば、まさに驚異的な効果があるわけだ。
「実際にE社と契約した店舗の視察もして具体的なイメージを頭に叩き込みました。時間はかかりましたが、E社の特徴をピンポイントで伝えイメージしてもらえるようにまでなったのです。さらにE社が営業活動で実際に使う提案書も見せていただくことができました。普通であれば自社のノウハウが詰まった営業ツールなどは見せてもらえません。本気で取り組めば、それが相手にも伝わるのだと実感しましたね」

地道な紹介活動が顧客の気持ちを変えた

商工中金がほかの銀行と違うところは、営業窓口が融資案件の審査を回す際に大きな影響力をもつ点だ。だから担当者がどこまで本気で案件を通そうとするかで、その結果も変わってくる。E社側もその点は理解しているので、多田の言動を注意深く見守っていた。多田は地道にE社の紹介活動を続け、その都度結果をE社に報告していた。地道な努力は信頼関係を生み出した。最初は商工中金との取引に懐疑的だったE社も、多田が本気だということがわかって融資を受ける考えに変わってきた。そうした中、ある情報が飛び込んできた。
「E社がアプローチしたい企業としてリストアップしている中に、商工中金と取引の深い大手飲食チェーンがあるというのです。早速アプローチをしてみると、経費の削減になる話ならすぐにでも聞きたいという回答がありました。そこで、その会社とE社との間で直に話をしてもらったところ、トントン拍子で話がまとまってしまったのです。大企業の場合、物事が決定するのに時間がかかるケースも多いですが、今回は猛スピードで契約に至りました。E社に初めて飛び込んでから半年経っていましたが、感慨深かったですね」

商工中金だから取引したんじゃない

最初の1社が決まると、その後は続々とマッチング先が現れて、次々と商談が決まっていった。その後も多田は継続してマッチング先を紹介し続けている。E社はまだ企業規模がさほど大きくないため事業拡大スピードには限界があり、紹介のペースに待ったがかかるケースも出てきた。電力料金の値上げがささやかれる中で、E社の提供するサービスは一層存在感を増しており、今後も成長が予想されている。
「ビジネスマッチングからご融資に至った後、『商工中金だから取引したんじゃない。多田さんでなければ取引しなかった』とお褒めの言葉をいただきました。商工中金の評価は組織のみでなく、担当者に対してもなされると常々感じていますが、担当者としてお客さまに本当に喜んでいただけるソリューションが提供できたことと、それに対する評価がされたことで努力が報われた気がしましたね。今回の案件は特に商工中金、E社、マッチング先の3社にとってメリットがありました。お互いが役に立ってWIN WINの関係を築くことができたケースだったので非常にやりがいもありました。そんなやりがいは一度といわず何度でも味わってみたいですね」