Project Story 04

地域金融機関をリードし、
新倉庫建設の夢を後押しする

酒井 理嗣Yoshitsugu Sakai

2014年入社/京都支店 営業第一課

異動直後に進行中の融資案件を引き継ぐ

外国人観光客の増加により、京都市内ではいたるところで道路の渋滞が起きていた。酒井はお客さまとのアポに間に合うように、課長と共に早めに支店を出発した。2018年4月に京都支店に着任し、京都府の南エリアを中心に約110社のお客さまを担当している。その日向かったA社もその中の一つ。創業50年をこえる運送会社であるA社は、近年、大手メーカーからの受注が好調で現在成長中の企業だ。主要顧客である大手金属メーカーから製品輸送と合わせて部品の加工業務も受注することで事業の付加価値を高め、他社との差別化を図っている。「課長とともに初めてA社を訪問し、社長に引き継ぎの挨拶をしました。社長も最近代替わりしたばかりで張り切っており、積極的な営業活動を行って事業の拡大を目指している最中でした。その席で話されたのが事業の成長を見越した新たな倉庫の建設計画です。建設資金の融資についてはすでに前任者との間で交渉が始まっていましたが、必要な資金は数億円規模。A社は商工中金とメインバンクであるB銀行と同時に借入の相談を進めていました。今後、商工中金とB銀行でどのように融資提案をまとめていくか、詰めの段階に入る直前で私が案件を引き継ぐことになったのです」

本当にお客さまのためになる提案内容なのか

当初、B銀行と商工中金の2行を中心にシンジケートローンを組成し、必要な資金を貸し付ける方向で計画が進んでいた。シンジケートローンとは複数の銀行が協調し、同一の契約書を元に融資を行う手法である。融資金額が多額な場合はもちろんのこと、どの銀行からも同一条件での提案を受けることができるため、複数の銀行との取引をまとめていく場合に有効だ。メインバンクであるB銀行も同様の方針だった。以前にもシンジケートローンを組成した経験があった酒井は、シンジケートローンの提案に向けて本部の専門部署であるソリューション事業部との調整に入った。ところが、本部からの答えは想定外だった。「シンジケートローンを組成するならば商工中金とメインバンク以外に最低もう1行参加してもらう必要がある。しかし他の銀行はA社との取引がそこまで大きくない。加えて、シンジケートローンは手数料が発生する。A社は手元資金が潤沢にあり手数料の支払は問題ないが、わざわざ手数料を支払ってまで今まで取引の少なかった銀行にお願いすることを望むだろうかというのです。確かに、A社は倉庫建設という大型投資に備え、昨年から資金繰り負担を軽減するべく各銀行の借入の一本化や銀行の集約を行っていました」。シンジケートローン組成に向けて参加する銀行をもう1行増やすのか。あるいは、他の手段をとるべきなのか。酒井は岐路に立たされた

お客さまとの信頼関係を築いて意向を確かめる

融資実行に向けて調整を行うなかで、酒井はこの案件を自分に任せてくれた課長に何度も相談をした。そのたびに言われたことが、「お客さまの立場で、お客さまのためになることをすべき。商品ありきではなく、常にお客さまのニーズを起点に商工中金は動いていくべきだ」。融資を行うには、お客さまの事業計画や今後のビジョンに関して、どのような考えを持っているのかを見極めなければならない。A社への融資判断は重要な局面に入るところだったが、転勤して担当先を引き継いだばかりということもあり、まだA社との間に十分な信頼関係を築けていないという不安が酒井にはあった。担当者である自分がA社のニーズを正確に把握できなければ、その会社のためになる仕事ができない。そこで酒井は足繁くA社に通い、仕事の話題だけではなく、趣味の話、大学時代の話などプライベートな話題も織り交ぜて話をする中で関係を地道に縮めていった。日々の会話の中で、社長からは倉庫を活用して新たな取引を増やし、事業を拡大していきたいという強い意気込みが伝わってきた。加えて、今回建設する場所は2つの高速道路のICからのアクセスが良いだけでなく、3年ほど先に開通予定の高速道路のICからのアクセスも抜群であり、将来の物流の中心地になることを社長は見据えていた。5年後、10年後の経営を見据えるこの社長に自分は今どのような提案ができるか・・・・・・。「関係づくりができた段階で、シンジケートローンに参加する銀行を増やすべきかどうか、改めて社長と相談しました。その結果、会社としての大きな変わり目の時期に、新たな借入先を作るのは避けたほうがいいとの結論に至ったのです。そこで、支店の上司たちや本部も交えて新たな融資の枠組みを検討していきました」

※職員の所属部署・掲載内容は取材当時のものです。