Project Story 01

熊本地震で被災した食品スーパーを再建に向けて全力で支える

山口仁史 2008年入庫/熊本支店 営業第一課 調査役

震度7で倒壊したスーパーの再建に動き出す

2016年4月14日、最初の大きな揺れが来た時、帰宅した山口は自宅で家族と食事中だった。今にも倒れそうな冷蔵庫を押さえるので精一杯だった。そして16日未明、今度は前回を上回るマグニチュード7.3の本震が発生。眠っていた山口はあまりの揺れに驚いて飛び起きたが、今度はなす術がなかった。幸い家族も自宅も無事だった。夜が明けて出社し、すぐにお客さまに電話をして被害状況などを確かめていくと、状況は惨憺たるものだった。「建物が壊れた会社、商品が損害を受けた会社、従業員が出社できず営業ができない会社など、地域社会に大きな影響が出ていました」。熊本市内にある本店が大きな被害を受けたS社も、山口が担当するお客さまの一つだった。地元の生鮮スーパーで、九州に16店舗を展開している地域密着型の企業だ。本店は1階が店舗、2階が本部で、3階から6階までがマンションだった。そのマンションが倒壊して1階部分を押しつぶしていた。建物が老朽化して建て替えを計画していたため、すでに住民はすべて退去して無人の状態だった。地震が襲ったのが深夜で、店にも人がいない状態だったため、人的被害がなかったことがせめてもの救いだった。建物が倒壊した状況を見て山口は呆然とした。実は本店がある場所は、山口の実家から5分ほどの距離。その実家も半壊していた。生まれ育った地域のため、そしてお客さまのために何か支援ができないか。山口は動き始めた。

「取引先のために」という気持ちに応えたい

S社は鮮魚、肉、青果などの生鮮食品の鮮度にこだわりをもち、市場が休みの土日は定休日にするほど、他店との徹底した差別化を図っている。鮮度と低価格が評判となり、広範囲から多くの客が来店する人気店だ。スポーツによる地域貢献への思いも強く、社会人野球にも出場する野球部は、プロ野球選手も輩出するほどの強豪だ。取引をしている金融機関の中で、震災後、メインバンクよりも早く最初に顔を出したのが商工中金だった。山口がまずS社に対して行ったのが、仕入れ代金を決済する資金の融資だった。「財務担当役員と経理部長は、共にジャージ姿で、被災の後始末の対応で大変な状況にあることがうかがえました。自分たちが甚大な被害に遭ったのにもかかわらず、『被災して苦しんでいる仕入先に対して、少しでも早く代金を支払って支援したい』、『社員にも早く給料を支払って安心してもらいたい』という二人の思いを知って、非常に心を打たれました」と山口は言う。仕入先の支援に向けた資金の調達のために、熊本支店内ではすぐさま協議がもたれ、融資が行われた。

全面的な支援体制を組んで被災地に対応する

災害時に迅速な対応ができるのは、商工中金ならではだ。商工中金では即座に熊本地震に対する支援体制を整えた。被災して融資や資金繰りで困っているお客さまに対して、その場で即座に融資の審査が可能になるように、翌日には本店から審査役が応援に駆けつけていた。他にも2名の本部職員が熊本に来て、新規融資申し込みへのサポートに追われていた。熊本支店の支店長は、偶然にも阪神淡路大震災、東日本大震災に続き、今回の熊本地震に遭遇。災害時にいかに金融機関が対応すべきかや震災後の支援策について、精通する人物だ。「東日本大震災では被災した企業に対して、国が自治体と連携して『グループ補助金』という制度をつくり、中小企業が施設や設備の復旧をするための支援を行いました。今回もその制度が使われるだろうと予測し、震災の緊急会合で、制度の実施について早めにPRすべきだと意見を出しました。そうしなければ、補助金があれば再建が可能な会社も、再建をあきらめてしまう可能性があったからです」と支店長は振り返る。熊本支店のメンバーには、グループ補助金を必要とする企業に対してしっかりとアナウンスするように、指示が出されていた。