Project Story 01

お客さまへのまっすぐな想いが
周囲を巻き込み、そして動かす

市村 津征Tsuyuki Ichimura

2016年入社/上野支店 営業第二課

急成長中のバッグメーカーを支援する

営業窓口2年目になった市村が、転勤した先輩から引き継いだA社は、旅行などで使うスーツケースや、ビジネスバッグなどを製造販売するメーカーだ。担当する顧客の中でも指折りの大口先の一つである。全国の大手量販店やバッグ専門店などを販路に持つほか、自社直営の店舗も展開している。比較的新しい企業だが、現在急成長を続けている理由は優れたモノづくりにあった。品質やデザインには細かなところまで工夫があり、特許も取得している。社長はユーザーからの意見をしっかりと吸い上げ、その意見を製品に反映させるときには自らが必ず製造企画段階から関わるくらい、モノづくりへの熱いこだわりをもったアイデアマンだった。製品の製造は中国の工場で行われているが、品質管理なども万全の体制を作っていた。A社を引き継ぐことになった市村は、事業への理解を深めようと、A社の展示会の視察に出かけた。展示会もブランドイメージの向上を意識して、戦略的な配慮がなされたものだった。倉庫にも足を運んでみた。最新の物流システムを導入した内部は整然としていて、在庫管理も徹底していた。ぜひA社の成長を支援したい。市村はごく自然にそう考えた。

決算書から財務体質の問題点を発見

どうすればA社の成長を後押しできるのか。その方法を探るために、課長とともにA社について議論をしていた時だった。財務面である問題点が浮上した。「課長、借入金の返済額が、収益の規模に対して多すぎるんじゃないですか」。市村の言葉に課長も頷いた。急成長してきたA社では、事業の拡大を支えるために多額の設備投資や運転資金を必要として、商工中金以外にもメインバンクなど複数の銀行から長期融資を受けていた。その結果、毎月の返済額がかさんで、事業運営を圧迫する状態になりつつあったのだ。これが続けば、返済をするためにお金を借り続け、いずれは事業に資金を回す余裕がなくなり、成長スピードが落ち、経営面で重大な問題を引き起こしかねない状況だった。「実はおっしゃる通りなんです」。A社を訪問した市村たちの問いかけに、多忙な時間を割いて面会した社長は頷いた。「どうすればこの状態から脱却して、A社が事業拡大をできるのか。そして商工中金としてどんな支援ができるのか。社長から現状をヒアリングして支店に戻り、課長とともにすぐさま検討を始めました」

シンジケートローンによる融資を検討する

市村たちが描いた計画は、A社に対して、新たに10億円の短期融資枠を設けることだった。その融資を今後の事業拡大のための運転資金に充てていき、そこから生まれる収益で複数ある長期借入金の返済を行い、最終的に短期融資に一本化するというスキームだ。しかし、10億円という新規融資は、A社の規模を考えればメインバンクでもない商工中金が単独で融資するには、大きすぎる額であった。そこで登場するのがシンジケートローンと呼ばれる仕組みだ。複数行が協調して銀行団をつくりリスクシェアを図りながら、融資を行うというものだ。この計画を策定した市村の課長は、以前本部のソリューション事業部と呼ばれる部署で、シンジケートローンのスペシャリストとしてこれまで多くの中小企業の経営課題を解決してきたキャリアをもっていた。もちろん、営業窓口2年目の市村にとってシンジケートローンは初経験だった。課長が自ら動けば、難なくクローズできる案件だったかも知れない。だが課長は市村に言った。「A社の担当である市村が動いてこそ、意味がある。サポートもするし、責任も全てとる。だから審査、提案、交渉、全て一人でやってみよう」。その日からシンジケートローンの専門用語を覚えるところからスタート。まさに走りながら学び、考える日々が続くことになった。

※職員の所属部署・掲載内容は取材当時のものです。